涼しくなってきて、この十日ほど鈴虫の音が聞こえてきます。
子供の頃、母がお茶の友達より鈴虫を貰ってきて織部の火鉢に
入れ世話をしてた事があります。鈴虫に名前をつけて、毎日母から
西瓜や胡瓜を切ってもらい寒冷紗をかけて逃げないように
していました。風呂上がりに庭の竹に水やりをして、涼しい
風の中で聞く鈴虫の音はとても風情があり心地良いものでした。
ある時、いつも静かな父が裸足で庭に降りその鈴虫たちを
庭に戻してやりました。私はケンチャン、ミヨチャン、太郎が
いなくなったと泣きました。父は「長く生きられないから自然に
帰してやったほうがいい。」と、私はふさって泣きました。
今ならわかる気持ちです。
でも、40年経っても毎年鈴虫の音はその庭から聞こえてきます。
